大学院生作品 GRADUATE STUDENT WORKS
「カエル巻き」 ぐるぐるまわる絵の世界
晏 静
子供頃の遊びと笑顔、心の中の虹色、大人になった今よく夢に出る景色。
それらのすべてを記憶のケースに納めてみたい。巻かれた絵巻のように。
ストレスを感じた時に開けてみたいあの時の夢、きっと癒されるはず。
極彩色の夢の世界が目の前に流れる瞬間は一体どんな気持ちだろう?
作品
私の中に存在している世界はけっして争いも悲しみもない柔らかい理想郷でした。この世界の住人たちは皆演劇の仲間なのです。今日も明日も毎日、舞台で愉快な台本を演出しています。今日のテーマは「サーカス」なら、明日は「仕立て屋」といった具合に。今日は自作自演なら、明日は動物たちがそれぞれ集まって演じたりしています。
 今回の作品は自分の心の世界を表現してみました。一つ目は主役であるカエルたちの自作自演です。張り子の象、ライオン、キリンなどの大道具を作って一緒に遊ぶ画面を描きました。なにか物足りないと思った舞台ですが、カエル達は皆楽しんでいます。もう一つ目はカエル達の小さな試みです。華麗な舞台衣装を作る仕立ての店を開いて、動物達にそれぞれ個性的な衣装を作ってあげ、舞台の魅力を動物達に伝えて、仲間を募集する画面でした。
作品 古き日本の国宝「鳥獣戯画」からインスピレーションを得たこと、そして「遊べ、踊れや、どこかしこ、誰もかれも」に惹かれて、自分のやり方で「絵巻」という言葉を翻訳してみました。伝統的な言葉を現代語に変える瞬間、木の箱がアクリルケースに替わり、墨画が透明水彩になりました。古き絵巻の上に新たな絵本の形を提案し、さらに伝統的絵巻の外側を生かして、現代美学を強調した絵巻に仕上げました。勉強に集中出来ない、本が大嫌いな子供でも楽しく読める、幼児教育のための知育玩具でもあり、画面の連続性を強調した絵本でもあるのです。